トランプ勝利が変えるのは米国ばかりではない

米国大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏の勝利が変えるのは、何も米国ばかりではない。この勝利は、日本を含めた世界全体に大きな影響を与えるだろう。
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© AFP 2016/ Jewel Samad トランプ次期大統領、米特殊部隊の機密情報へのアクセス権入手トランプ氏の選挙戦において核心に置かれたのは、ワシントンの政治エリート達との戦いだった。トランプ氏は、彼らを汚職にまみれた非効率的輩と呼んだ。もちろんトランプ氏勝利において、彼の選挙プログラムも、それなりの役割を果たした。減税、インフラ整備予算の拡大、移民に対する厳しいアプローチ、ウォールストリート(金融資本家)の欲望の制限、ダーイシュ(IS,イスラム国)への積極的な対抗、中国に対する、特に経済関係における強硬姿勢、そしてロシアとの関係正常化、といった公約である。 トランプ氏に票を投じた人達の大部分は、民族主義的な考えを持った国内製造業の労働者や保守的な農民層、つまりレッドネック(赤い首)と言われる米国の労働者階級の人々だった。トランプ氏は彼らに対し、自分がワシントンの官僚主義者らや政治家達の「停滞した」世界に対抗する存在であることを証明した。彼を通して米国社会は、国内産業を犠牲にして米国の金融資本家達のグローバルな利益実現を試みた民主党政治に不満を表明したのである。「アメリカ、ファースト」、米国の利益が他のものすべてに優先するというのが、トランプ氏の主なスローガンだ。 トランプ氏の勝利は、グローバル化政策が、世界の主要経済国で、重大な修正をこうむっていることを示している。しかし今重要なことは、トランプ氏のプランが、日本に対するものも含めて、米国の対外政策の中で現実化してゆくという事を理解することだ。とりわけTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のすべての考えの実現は、ひどく疑問視されている。 トランプ氏は、有権者を前にした演説の中で直接「私は、まだその批准に関し合意のなされていないTPPから米国を離脱させるつもりだ」と明言している。 トランプ氏は、少なくとも、このプロジェクトを一時停止させるだろう。一方日本政府は、批准に向けすべての用意を整えた。しかし日本には、米国なしにこの構想を進める力があるだろうか? これは安倍政権にとって重要な問題である。TPPを拒否すれば、中国の地域統合プランの魅力が増してしまう。それ以外に、もしTPPをアジア太平洋地域における米国の軍事同盟国間の絆を強化する道具の一つだとみなすのであれば、東アジアのバランスは、日本にとって有利でない方向に傾く可能性がある。これも問題だ。 © AP Photo/ David Zalubowskiトランプ新米大統領下で日本を待っているものとは?しかし日米関係に直接影響を与えるものはまた別のものであり、こちらが主要なものだ。日米軍事同盟に対するトランプ氏の立場だ。トランプ氏は「もし我々が攻撃を受けても、日本人は家に残って、ソニーのテレビを見ているだけ。こんな状態は正常だろうか?」と有権者に問いかけた。これは同盟国である日本に対し、あまり尊敬を持った態度とは言えない。おそらくトランプ氏は、日米安保条約において自分達の役割を向上させたいとする日本の政策のデリケートさを、明らかに深い所で理解していない。 こうした発言がなされた今年の夏は、トランプ候補はアウトサイダーだからと、笑って受け流すことができた。しかし今となっては、米国は日本から何を欲しているのかを真剣に考える、良い機会だろう。なぜなら米国が、自分の同盟国の防衛のため負っている支出を全部負担してくれと言っているだけではないことは明らかだからだ。全額負担の必要不可欠性について、トランプ氏は新聞「ニューヨーク・タイムズ」のインタビューの中で直接述べている。おまけに同盟国の核兵器保有の可能性について論じながら、次期大統領には、軍事同盟を破棄するつもりはないらしい。 トランプ候補の選挙キャンペーン中の発言から判断すれば、彼は、欧州においても極東においても軍事同盟国を、地域安全保障の諸問題において一層積極的な役割を演じるよう促したいようだ。日本はもちろん、米国にとって特別な同盟国という英国の例に憧れを感じている。しかし、例えばイラクやリビアで一緒に空爆するような義務なしに、それを望んでいる。けれども日米軍事同盟の枠内での再軍備やより積極的な防衛政策は、疑いなく中国の反発を呼ぶだろう。また全体としてアジアでも喝采を持って迎えられるわけではないだろう。 日本にとって死活的に重要な問題において、何らかの明確さが欠けていることが、今回恐らく安倍首相をニューヨークへと向かわせたのだと思う。17日トランプ氏との会談を急遽決意した。欧州の指導者達も、心配し始めており、週末にEU加盟諸国外相会合で新しい現実について意見を交換する。米国の同盟国の間では、上を下への大騒ぎが起きているようである。

続きを読む: https://jp.sputniknews.com/opinion/201611133005841/

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